アジアの追い上げはすごい!
2009年11月22日から25日にかけて、シンガポールとマレーシアを旅行してきました。
今回の旅行目的は、アジアの先進国シンガポールやイスラム国家マレーシアが、世界を相手にこれからどのような国家戦略を描いているのかを自分の目で見て確認するためでした。
旅行から帰って感じることは「アジアの追い上げはすごい!」という実感です。
近代都市国家シンガポールの人口は約500万人で国土は淡路島と同じ程度の広さでしかないが、世界的にもトップクラスの社会環境や清潔度を形成して、「エンターテイメント・ビジネス」をコアとした国家像を戦略的にイメージして推進しているのです。
日本の勤勉さに注目して、強力な指導力のもとに経済成長を達成し、シンガポールをアジアの先進国に引き上げた「リー・クァンユー元首相」の卓越したリーダーシップで基礎を固め、現在はその息子が首相を務めていることから、「明るい北朝鮮」と表現されたりすることもあるようですが、強力な政治力と優秀な官僚により、最先端の国家戦略を立案し法律を改正してでも徹底してこれを推進することで、見事に国家の力を高めています。
シンガポールは、リーマンショック以後の世界不況の中でどのような国家戦略を構築するかについて明快な方向性を持ち合わせています。法律で禁止されていたカジノを合法化して世界一のエンターテイメント・リゾート・エリアの開発を国家主導の下に強力に推進している勢いはすごいです。
海岸部を埋め立てや幹線道路の建設など大規模なインフラ整備を国家が率先して推進した上で、2つの巨大プロジェクトがシンガポール政府から認可され、並行して建設作業のピークを迎えていることは、日本ではほとんど報道されていませんが、実はこれはすごいプロジェクトなのです。
セントーサ島において、ユニバーサルスタジオ・シンガポール、6つのテーマホテル1,800室、コンベンション・ホール、カジノ、スパ、グルメ・ショッピングなど約4,200億円のマレーシア資本による複合施設「ワールド・リゾート・セントーサ」と、マリーナ・ベイ地区を埋め立てて、3棟2,600室の高層ホテル、カジノ、屋上空中庭園、MICEコンベンション施設、シアターやミュージアムなど約5,200億円のアメリカ資本による総合リゾート「マリーナ・ベイ・サンズ」が間もなく完成します。
シンガポール政府が2つのプロジェクトを認可して、巨額なマレーシア及びアメリカ資本の導入に成功したこと、すみ分けが可能であると見極めていること、マレーシアとアメリカによる競争原理を促進していること、カジノ併設による経済性の追求など、計算され尽くした高度な戦略のもとに巨大なプロジェクトが進行していることに気づきます。
マリーナ・ベイ・サンズ社で経営収益について質問したところ、2600室もの巨大ホテルの収益は全体の約10%で、総収益の75%は「カジノ」からの収益だと聞かされて驚きました。2社に競争させて世界中の富豪やカジノ目当ての集客を促進する中で、2社が挙げるカジノ収益からシンガポール政府はしっかり巨額な税収が確保できるようなスキームを作り上げているのです。“カジノに目を付けた読みは素晴らしい”やはりすごいですね。
マレーシアのゲンティンハイランドでずっとカジノを経営して成功を収め、イスラム国家マレーシアとしてアラブの大富豪とイスラム教という共通の思想を活かせる、マレーシア資本の「ワールド・リゾート・セントーサ」と、ラスベガスにおけるカジノ・ビジネスやアジアにおけるマカオでのカジノ・ビジネス成功のノウハウを有する、アメリカ資本の「マリーナ・ベイ・サンズ」との壮絶な戦いの場が、いよいよ2010年春には整うと思うと、ゾクゾクします。2010年春になればわが国の報道が活発化するでしょうが、今は目を向ける者もなく、ほとんど誰もがその現実を知りません。やはり日本はアジアの成長から取り残されているようです。
マレーシア南部開発地域を視察しました。ここではジョホールバル州をマレーシアの南の玄関口と位置付けて大規模に開発する「イスカンダル・マレーシア計画」が立てられて、2025年の完成に向けてかなりのスピードで進行しています。この壮大なイスカンダル計画はシンガポールの2倍の広さを総合的に開発するもので、着々と建設が進んでいる姿を目のあたりにして、その勢いにはやはり驚きました。このことも日本では全くと言っていいほど知られていないのです。
アジアの国はみな若くて活気があり、国家としての勢いが感じられます。明るい空気や輝く眼の力に触れるとき、正直“アジアの追い上げはすごい!”と感じます。日本は今や老人の国で活力がまったく感じられないし、政治家が無能で官僚の知恵が活かされていないこともあって、かつてのイギリスのように守りに入って停滞していることが実感できます。日本の国は、このまま“やれ先進国だ、アジアの盟主だ”と慢心してのほほんとしていると、あっという間に中国だけでなくアジア諸国にも追いつかれ追い越される、恐怖を感じる焦りのような感情を抱くのは私だけだろうか。
2009年12月9日(水)
分類: 観光コラム